お役立ち情報

燃料税について

航空燃料税のあらまし

航空機燃料税が創設され、昭和47年4月から航空燃料は課税されるようになりました。
出典及び法令名略語

本        駒野定吉著
「揮発油税・航空機燃料税・石油税の実務必携」
昭和54年5月27日法令出版株式会社
通達      航空機燃料税法取扱通達
(昭和47.4.3/平8課消4-32改正)
法        航空機燃料税法(昭和47年法律第7号)
令        航空機燃料税法施行令

はじめに

航空燃料税は航空輸送量の急激な増加と航空機の高速化、大型化の急速な進展に伴い、空港の整備拡張や航空機の騒音対策、 さらには保安施設、管制施設の拡充による航空輸送の安全確保等の緊急性にかんがみ、その財源調達を目的として設けられたものです(本)。

なお、民間航空が発足した昭和27年より、民間航空事業の保護育成を図り助成する見地から租税特別措置法によって 航空機燃料としての揮発油に対する揮発油税及び地方道路税を同法の3年毎の時限立法により免除してきたのであるが、 航空機燃料税が創設された事により、揮発油税法の中に航空機燃料に対する免税規定(同法16の3、16の4)を設け、 揮発油税及び地方道路税の免除を恒久化した。

課税物件

航空機燃料税の課税物件は航空機燃料です。法3条

航空燃料とは、航空機の燃料用に供される炭化水素油をいいます。現在では航空ガソリン(ガソリン型)、ジェット燃料(燈油型)とがあります。これらは、いずれも航空機燃料ですから、課税物件となります。

航空機から取りはずされた発動機の整備または試運転を行うため、その燃料として消費される炭化水素油についても、航空機燃料として課税物件となります(法5)。

航空機に該当するかどうかは、航空法(昭和27年法律第231号)の「航空機」(航空法第2条)の取り扱いに準ずるものとし、その判定が困難なものについては、国税庁に上申する(通達2-1)。

法5の発動機すなわち、「航空機から取り外された発動機又は新たに航空機に取り付けるため製造されもしくは購入された発動機」とは、再び航空機に取り付けることを前提として取り外されたもの、又は新たに航空機に取り付けることを前提として製造され、もしくは購入されたものをいうのであるから、航空機用発動機と同一の規格、構造のものであっても、航空機以外のもの(ホバークラフト、水中翼船、発電装置等)に取り付けることを前提としたもの、及び航空機の発動機の研究、開発、試作等を目的とし、航空機に取り付けられないものは、航空機用発動機には該当しない(通達4-1)。

課税物件となる航空機燃料について、一定の性状規格が条文には設けられていないので、 それが航空機の燃料用として使用されるものである以上、すべて航空機燃料税の課税物件としての航空機燃料に該当するが・・・

航空機に積み込まれる「メタノールミックスチュア」、「ウオーターメタノール」等と称するものは、水とアルコールを混和したものであって、炭化水素油には該当しない(通達2-7)ので航空機燃料ではなく課税の対象にならない。

納税義務の成立

航空機燃料税の納税義務の成立は、航空機燃料の航空機への積込みの時です。
国税通則法15②七


発動機の整備または試運転を行うために燃料として消費される航空機燃料については、その消費が航空機への航空機燃料の積み込みとみなされること(法5)から、その消費の時に納税義務が成立する(通達3-11)。

外国往来機等の場合、外国往来機等でなくなった時に、その場所で積み込まれたものとみなす(参照・法7)。
外国往来機等でない航空機が、外国往来機等になった時、取卸しをされたものとみなし(参照・法13)、航空燃料税を控除又は還付する。

納税義務者

航空機燃料税の納税義務者は、原則として、航空機の所有者です。
ただし、所有者以外の者が航空法上の使用者として使用してる場合は、その使用者です。法4条


「航空機の所有者」の判定にあたっては、航空法第3条《登録》に規定する航空機登録原簿に登録されている航空機については原則として、当該航空機登録原簿に登録されている所有者を「航空機の所有者」として取り扱う(通達3-1)。

しかし、航空機について所有者以外の者が使用者であることが賃貸契約、使用賃借契約などにより明らかである場合には、その使用者が納税義務者となります(法4①)

また、航空機の整備または試運転については、その航空機の所有者または使用者以外の者が行う場合、その整備または試運転を行う者によりその航空機に積み込まれた航空機燃料については、その整備または試運転を行う者が納税義務者となり(法4④)
発動機の整備または試運転については、その整備または試運転を行う者が、その発動機の燃料として消費された航空機燃料につき、納税義務者となります(法5)。

整備又は試運転を行う者とは、労務提供者である作業員等ではなく、自己責任において他人の航空機の整備又は試運転を行う企業主、使用者等をいい(通達3-8,9)、整備会社と航空会社のどちらの責任で燃料の積み込み又は消費を行っているかが分かれ目・・・。

なお、国および地方公共団体には、航空機燃料税の納税義務はありません(法6条)。したがって、同法に規定する申告等の手続きは要しないが、揮発油税法第16条の3及び4の航空機燃料用揮発油の免税規定に基づく(航空ガソリン等の免税)届出等の手続きは要する(通達5-1)。

非課税

有償の国内運送の用に共されない外国往来機に積み込まれる航空機燃料、および揮発油税と地方道路税が課税済みの航空機燃料には航空機燃料税は課税されません。法8①②

関税法第1項もしくは第2項の規定により、税関長の承認を受け、または届け出をして有償の国内運送の用に供されない外国往来機に積み込まれる航空機燃料については、その積み込みにかかわる航空機燃料税は課税されません。

これは、いわゆる国際線に就航する航空機に積み込まれる航空機燃料が該当します。 また、揮発油税および地方道路税が課されたり、課されるべきことが納税義務者の所持する書類などによって明らかである場合も、その航空機燃料については、航空機燃料税は課税されません。
これは、二重課税を防止する観点から設けられたものです(本)。

納税地

航空機燃料税の納税地は、原則として航空機燃料の積み込みの場所(取卸しの場合は取卸しの場所)です。法9

これは、揮発油税法上の揮発油として、揮発油税の免税を受けた揮発油(航空ガソリン等)については、揮発油税法上の移入場所と一致することになります。

また、航空機燃料の積み込みが,納税義務者の事務所や常駐社員のいない場所で行われ、航空機燃料の積み込みに関する事項は本社等で管理されてることが多いと認められ、このような場合にも納税地を航空機燃料の積み込みの場所とすることは事務手続きなどからみて適当ではないので、このような場合には、納税地とすることが適当であると認められる場所につき、国税庁長官の承認を受け、その承認を受けた場所を納税地とすることができる(法9、令4)。
この承認を納税地特例の承認という(通達7-1)。

課税標準

航空機燃料税の課税標準は、航空機に積み込まれる航空機燃料の積込数量です。法10

積込数量の測定については、原則として常温(温度15度)に換算した数量によるものとするが、現実の取引の数量が見掛けの数量によっている場合には、その数量によることとしてもさしつかえない(通達8-4)。

重量によっている場合には、比重によって容量に換算したものによる(通達8-2)。
積込数量で、ガロンまたはバレルによるものについては、1米ガロンについて3.7854リットル、1バレルについて158.99リットルに換算する(通達8⑥)(平成8年改正)。

積込数量の端数計算は、L位未満2位以下を切り捨てL位未満1位にとどめるが、常時L位単位で計量している場合には、L位にとどめることとしても妨げない(通達8-4)。 積込数量を換算する場合、そのつど換算する方法、1か月分をまとめて換算する方法、どちらでも差支えない(本)。
また、発動機の整備または試運転の場合については、その整備または試運転のための燃料として消費された航空機燃料の消費量です。

税率

航空機燃料税の税率は、1KLにつき、18,000円です。法11

納税申告および納付

航空機燃料税の納税義務者は、毎月、その月中において航空機に積込まれた航空機燃料の数量、税額などを記載した申告書を翌月末までに提出し、その税額を納付しなければなりません。法14

航空機燃料税の納税義務者は、毎月、その月中において航空機に積み込まれた航空機燃料について、その積込み場所ごとの積込数量(発動機の整備または試運転にあっては消費量)およびその合計数量、これに対する航空機燃料税額、取降しをした場合にはその適用をうけようとする航空機燃料税額等を記載した「航空機燃料税納税申告書』を、翌月末日までに、その納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。

納税申告書が期限後に提出された場合には、法第12条の規定(取卸の場合の航空機燃料税の控除等)による航空機燃料税の控除または還付を受けられないことになる(通達11-4)。

また、その納税申告書の提出期限内に、その納税申告書に記載した納付すべき税額に相当する航空機燃料税を納付しなければなりません。

記帳

航空機燃料税の納税義務者は、航空機燃料の航空機への積み込みおよび航空機からの取卸しに関する事実を帳簿に記載しなければなりません。法17 、航空機燃料税法施行令9

記載すべきは下記の4件です。

  1. 航空機への積み込まれた(発動機の整備または試運転のために消費された)航空機燃料の数量、積み込みの年月日ならびに積み込みの場所の所在地および名称
  2. 譲渡をうけた航空機燃料の数量、譲受けの年月日ならびに譲渡人の住所および氏名または名称
  3. 航空機から取卸しをされた航空機燃料の数量、取卸しの年月日ならびに取卸しの場所の所在地および名称
  4. 譲渡をした航空機燃料の数量、譲渡の年月日ならびに譲受人の住所および氏名または名称

参考文献

  • 駒野定吉著「揮発油税・航空機燃料税・石油税の実務必携」昭和54年5月27日法令出版株式会社
  • 国税庁配布冊子「第68国会租税特別措置法の一部改正法律案新旧対照表」昭和47年2月
  • 国税庁配布冊子「航空機燃料税のあらまし」昭和47年4月