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航空燃料の税務手続き解説

はじめに

まず大まかな流れとして、航空機に使用した場合と航空機以外の場合、ガソリン系の航空ガソリンと灯油系のジェット燃料に分けて図示しました。
ガソリン系のジェット燃料(JETBやJP4等)の場合は、航空ガソリンと同じ扱いなので注意が必要です。

航空ガソリンには航空機燃料税法と揮発油税法の2つが関係していて、ジェット燃料には航空機燃料税法の1つだけが関係しているというポイントを押えておけば、どの法律の要求する手続きか区別できるので、後々ややこしくならないようです。

➀揮発油税地方道路税(53.8円/L)の免税手続き

移出者(給油会社)と移入者(飛行機の人)の両者が出しました、入れましたと税務署に双方で届けを出します。
航空ガソリンもガソリンですから原則として揮発油税と地方道路税が課税されますが、「航空機に利用したということが明確に出来れば揮発油税と地方道路税は課税しませんよ」ということで「航空機に使用しましたので揮発油税と地方道路税を免税してください」と申告するのがこの免税手続きです。

余談ですが、「私は手続きしたくありません。よって揮発油税と地方道路税(53.8円/L)を購入時に給油会社に支払います。」という事も可能で、揮発油税と地方道路税を支払ったことが書類等で証明できれば航空機燃料税(18円/L)は課税されません。

➁航空機燃料税の納税手続き

移入者(飛行機の人)が税務署に申告して納税します。
航空機に積み込まれた燃料には原則として航空機燃料税は課税されます。
しかし、二重課税防止の観点からの航空ガソリンの場合上記の余談で述べた例外があります。

➂移出者(給油会社)が揮発油税地方道路税(53.8円/L)の納税

航空機燃料用に供さないわけですから、ガソリンの原則に戻り、自動車用と同じように、移出者(給油会社)が税務署に申告して納税します。
売買の場合は、販売時に価格に上乗せして買主に請求することになります。

➃特に手続き無し

航空機燃料用に使用しなかった場合、灯油と同じ扱いとなり(灯油の場合製造所等で移出時に灯油免税手続をして揮発油税をすでに免税されている)、特に手続はありません。

したがって、航空機燃料として利用した場合は航空機燃料税の手続きを取りますが、それ以外の実験用などに利用した場合は何も手続き無しです。

➄納税地特例

原則として、航空機燃料税の納税地は航空機燃料(以下燃料)の積み込みの場所です。
しかし、納税義務者のうちには、燃料の航空機への積込みが納税義務者の事務所や駐在員のいない場所において行われることが多く、この場合には燃料の積込みに関する書類も通常は本社等で管理されているでしょう。

このような場合に、航空機燃料税の納税地を現実の燃料の積込み場所とすることは、納税義務者にとっても、税務当局にとっても現実的ではなく、その実行も困難です。
そこで、国税庁長官の承認を受けたときは、その承認を受けた場所を納税地とする特例が設けられています。

この特例を、納税地特例と言っています。そしてこの場所が、特例納税地です。
自家用のパイロットの方は、飛び始める前に申請される例が多いですが、後でも可能です。承認には1ヶ月ぐらいの期間を要しているようです。

納税地特例の有無による具体的な違いは、航空機燃料税申告書の「納税地」欄が全国どこの空港で給油しても承認場所となり、「積込み場所」欄に税務署管轄にかかわりなく、給油した空港を全部記載し数量を合計して、承認された1箇所の税務署に申告できることです。
原則なら、管轄税務署ごとに作成するので、別々の15空港で転々と給油された場合15部作成し15箇所に申告することとなります。

ポイント整理

航空ガソリンは、揮発油税は原則課税、航空機燃料税も課税。したがって、航空機燃料として使用された場合に何も手続きしないと二つの課税対象となっている。
よって、揮発油税の免税手続きを行ないます。

灯油系ジェット燃料は、揮発油税は原則非課税、航空機燃料税は課税。 したがって、航空機燃料として使用された場合には航空機燃料税のみ課税。 よって、免税手続は必要ありません。