航空ガソリンの揮発油税免税手続上の移入場所とは、航空機燃料の積込みが行われた場所であり、その所在地です。
しかし、農薬散布の事業の性格上、飛行場以外の住所の特定できない山間部等で給油されることがあり、ここを移入場所として免税手続をおこなうことが事実上困難です。
そこで使用事業者が移入する航空機燃料は、航空機燃料税の特例納税地をもって、移入場所とすることができる特例が設けられたそうです。
この特例を、移入地特例と言っています。
具体的な違いは、揮発油税航空機燃料用免税手続書類の「移入場所の所在地及び名称」に、どこの田畑、河川敷で移入しようと、特例納税地を記入することとなります。

航空機燃料税法7条によると外国往来機の場合、給油した地点ではなく飛行する地間を基準にしているようです。
つまり、アメリカで給油した燃料であっても、日本に戻り日本国内だけで使用することとなる場合は、日本に戻ったときの空港にて「残存する航空機燃料税が課税されていない燃料」が課税対象となります(みなし積み込み)。
運航方法は色々あると思われますので、より具体的なお話で国税庁にご相談されれば、より明確になると思われます。
例えば、航空機の国籍は日本だが、今回はすぐにアメリカに戻るのにスポットの関係で他の日本の空港に移動し翌日出発、など。

毎月のことですので、大変だと思います。
そこで、国税庁では記載方法の簡素化のために小型航空機等の場合は「航空機燃料税特例積込場所届出書」を提出した場合に、給油地に関係なく特例納税地を積込場所として取り扱う(通達昭和59.2.21 間消4-5)ようです。
つまり、納税地特例の承認あるので航空機燃料税は届出した場所(特例納税地)を管轄する税務署にまとめて納めればよく、ただし納税申告書に全国各地の給油 した場所を記載していましたが、上記届出の後は、特例納税地一箇所を記載し、数量も当月分の全国の合計を記載し管轄税務署に提出可能となります。
国税庁のホームページで航空機燃料税にて検索したら、上記の通達がありました。当該届出書の様式もダウンロードできました。ご検討ください。

事実、航空機燃料税に消費税は課税されていません。
「税金に税金はかからない」と説明出来ないところに消費税のややこしさがあるようです・・・。
税法上、明確に除外規定はないそうですが、次のような取り扱い基準上非課税となっていると説明されています。
  まず消費税法基本通達10-1-11(個別消費税の取扱い)で、「消費税法第28条第1項(課税標準)に・・・揮発油税、石油税・・等が含まれるが、軽油引取税・・・は、利用者等が納税義務者となっているのであるから・・・含まれない・・・。・・・。
つまり、納税義務者が譲渡者の場合は課税対象となり、譲受者の場合は非課税となる。
したがって、航空機燃料税の場合、納税義務者は、移入者すなわち譲受者なので非課税である。

ガソリン系の航空燃料と灯油系の航空燃料に関係する法律の違いを理解しないと、ややこしくなるようです。
まず、航空機燃料に関係する税金の大まかな説明をし、次に個々についてご説明します。
航空機燃料には航空機燃料税法が適用され、26円/Lの航空機燃料税が課せられることご承知の通り(2018年7月現在は18円/L)。
灯油系の航空燃料の場合は、この理解だけですむのですが、よく小型機に利用されるガソリン系の航空燃料の場合は、もう1つ理解しなければなりません。
それは、ガソリン系の場合、別の法律である揮発油税法が適用されるということです。免税手続きとは、この揮発油税法上の手続きです。
ガソリン系の場合、航空機燃料税26円と揮発油税(揮発油税と地方道路税、以下揮発油税)53.8円、二重の税金の対象となります。
そこで、揮発油税を免税するために免税手続きを取るのです。
余談ですが、よくご質問をいただく納税地特例は航空機燃料税法上のお話で、移入地特例は揮発油税法上のお話です。
したがって免税手続きに納税地特例は関係しません・・・。